エンジョイ!雪遊び

雪像

冬に行われるイベントでは様々な催し物が行われますが、その中でも群を抜いて人気が高いのは巨大雪像です。大量の雪と人手と重機を用いて、綿密なスケジュールの上で製作される巨大雪像は、それだけで「来てよかった」と思えるほどの迫力と感動を私たちに与えてくれます。

雪像について

雪像は、石や木の代わりに雪を用いた彫像の一種です。雪は空から降ってくる時は非常に空隙の多い結晶構造ですが、積もった後は雪の重みで空気が抜けて押し固められていく性質を持っています。この性質を利用して、雪をブロック状などの加工しやすい形状で固めて積み上げ、削って造形するのが雪像の基本的な作り方となります。

雪像をいつから作るようになったのか

では、雪像はいつごろから作られるようになったのでしょうか。実は、はっきりしたことは判っていません。例えば、日本最大の冬の祭典であり、数多くの雪像が作られることで知られる「さっぽろ雪まつり」は1950年から始まりましたが、それ以前から冬の祭りで雪像を作っていたようです。しかし、それ以前の冬の祭典に関しては明確な資料があまり残っていないのです。つまり、雪像が作られるようになったのは、「長時間に渡る外での作業が出来るほどの防寒具が確立された頃」と考えられます。

雪像の魅力

では、さっぽろ雪まつりなどの冬の祭典において雪像が主役を張り続けている理由とはどこにあるのでしょうか。雪像のメリットとして考えられるのは「コストを抑えられる」という事が言えます。雪は冬の間、降り続けるものなのでその気になれば幾らでも集めることが出来て、運搬・加工に掛かる人件費だけで済むという利点があるのです。第二には「大きく作ることが出来る」という点です。しっかり固めた雪は、氷に近い重量と固さを備えるため意外に崩れにくくなるのです。第三には「ダイナミックな迫力」が挙げられます。雪像は大きく作れば作るほど見栄えがよく、細かい造形がしやすくなります。こういった雪像の持つ「開催者側にとっての利点」を最大限に活かした雪像作りと会場作りをすることで、雪像と祭りの魅力が最大限に引き出されているのです。

雪像の楽しみ方とは

では、雪祭りなどで雪像に触れる時、どのような楽しみ方をすればいいのでしょうか? まず、第一には「写真撮影」です。雪像は永続的に残るものではないため、雪祭りが終わった後は写真やビデオでしか見ることが出来ないのです。第二には「雪像で遊ぶ」ことです。大雪像の中には、滑り台や中に入れる構造になっているものもあり子供向けに開放されていることがあるのです。第三には「雪像比べ」です。雪祭りには市民によって製作された市民雪像も展示されており、同じテーマで造られた雪像の違いを楽しんだり好きな分野の雪像を探したりと言った楽しみがあります。

雪像を自分で作ろう!

雪祭りの市民雪像のように、雪像はある程度の大きさのものなら重機を用いなくても作ることが出来ます。雪像は雪だるまよりも製作に時間が掛かるものの、より細かいディテールを表現することが可能です。雪像作りのファンは多く、雪祭り会場だけでなく自分の家などで製作する人も大勢居るのです。

雪像作りに必要なものとは?

雪像作りで一番重要なものは、材料となる雪です。それも、排気ガスや土で汚れていない真っ白な雪が必要となります。溶けたり凍ったりを繰り返したザラメ雪は雪像作りに向いていないので、新雪などの柔らかいものを選んで使います。そのほかに必要となるのは、全体像を削り出すための道具やバケツがあります。削るために使う道具には、スコップやノコギリ、チェーンソーなどの荒削りに使うもの、包丁などの刃物、造園用のコテなどがあります。バケツは、切り出したパーツを接着するために使う水を加えてシャーベット状にした雪を作るために使用します。また、雪像の雛形になる設計図やミニチュアモデルを用意しておくと製作をスムーズに進められます。

雪像の作り方とは?

それでは雪像の作り方を説明していきます。

雪像の元を作る

雪像の製作は、まず集めた雪を固めることから始まります。固める時は直方体または立方体にすると作業に都合がよいので、コンパネなどの丈夫な板を使って枠を作っておきます。枠はロープなどでがっちり縛って壊れにくくしておきましょう。出来た枠の中に雪を入れて、溢れる程度になったら上から踏みつけて固めていきます。これ以上固められないところまで雪が固まったら枠を崩してこの作業は完了です。

雪像の当たりを付ける

雪の固まりが出来たら、完成図を元にカラースプレーなどで大まかな当たりをつけていきます。当たりは前後・左右・上の五面すべてに付けておきます。あたりを付ける前に一度簡単な図面を起こしておくと間違いが少なくなります。

雪像を削る

当たりをつけたらいよいよ削り出しに入ります。雪を削るときは、大きく削るのではなく細かく丁寧に削っていきましょう。削る必要のない場所まで削ってしまうと、リカバリーで手間を食うことになるからです。最初はスコップやノコギリで大まかな形を起こし、包丁などの小回りの利く道具で細部を起こしていきます。チェーンソーは、一気に削り出せるパワーを持つ優れた道具ですが、扱いが難しいので必ずしも必要と言うわけではありません。

雪像の補修を行う場合は

雪像を削り出している最中や展示中にパーツが壊れた場合はどのように補修すればいいのでしょうか。柔らかめの雪をバケツに集めて、水を注いでシャーベット状にした雪を接着剤代わりにします。パーツの断面と割れた場所に塗りつけてしばらく置いておくと、天候にもよりますが凍ってくっ付くのです。盛り上がった部分を丁寧に削れば元通りになります。また、最初に骨組みになる部分を作ってから別に削りだしたパーツをくっ付ける手法でもこのシャーベット雪は効果を発揮します。

雪像の出来上がりのために

細部まで削り出し、雪像が完璧に出来上がったと感じたら雪像全体に水を掛けて凍らせます。水をかける時は、如雨露などで静かにかけるようにします。バケツやホースなどで勢いよく水をかけると壊れてしまうことがあるからです。水をかけたら一晩ほど放置して雪像の出来上がりです。