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モーグル

モーグルは、スキー競技の中でも一番歴史の新しい種目です。しかし、その歴史の浅さとは裏腹に高い注目度を持ち、「日の丸飛行隊」で日本のお家芸となっているスキージャンプに並ぶ人気と知名度を持っています。ここではモーグルの歴史やルールなどについて紹介していきます!

モーグルを詳しく知る!

モーグルは、元々はノルウェー語で「コブ」という意味を持った言葉です。モーグル競技はその名の通り、洗濯板のように沢山のコブがついた斜面をかき分けるようにして駆け下りていく競技なのです。

モーグルの誕生

モーグル競技が生まれたのは1960年代のことで、元々は上級スキーヤーの間での余興に過ぎなかったといわれています。その頃のモーグルは「ホットドッグスキー」と呼ばれ、コブだらけの斜面がケチャップやマスタードを塗りたくったホットドックの表面に似ていることから名付けられたようです。ホットドッグスキーは現在で言うところのフリースタイルスキーの要素を全て兼ね備えたもので、モーグル・エアリアル・アクロの三種目に跨った見せ物的な競技であったといわれています。

モーグルの普及

ホットドッグスキーが一般的に知れ渡るようになったのは1984年に公開された映画「ホットドッグ」からのことで、当時は「ルール無用のスキーレース」として描かれていました。その4年後におこわなれた1988年のカルガリーオリンピックからホットッドッグスキーは「フリースタイルスキー」として公開競技になり、1992年のアルベールビルオリンピックからオリンピックの正式競技となり、競技人口を増大させていったのでした。日本でモーグルの名が知れ渡ったのは1994年のリレハンメルオリンピックからで、26年ぶりの日本開催となった1998年の長野オリンピックにおける日本勢の活躍によって、モーグルはスキー競技の中でもトップクラスの知名度を獲得したのです。

モーグルに使用する用具

モーグルの公式ルールでは、使用するスキー板などの用具には特別な制限はありません。唯一、ヘルメットの着用のみが義務付けられています。スキー板はアルペンスキー用でもノルディックスキー用でも構わないのですが、カービングターンや衝撃吸収を考えた場合は長めの板のほうが有利とされています。また、ストック自体も通常のものよりも短めのものの方が都合がよいとされています。

モーグルの全貌を知る!

モーグル競技は、タイムと技術を判定材料として競い合う種目となっています。モーグルの特徴であるコブだらけのコースを滑走するための技術と、途中にあるキッカー(小型のジャンプ台)ごとに行う空中でのエア技、ゴールまでの時間の三種類が判定基準となっています。

モーグルの競技内容

モーグルの内容はコースに設置された二箇所のキッカーで、それぞれ異なるエア技の組み合わせによる演技を行い、ゴールを目指すものとなっています。モーグル最大の魅力となるのがキッカーごとの演技で、難易度の高い技ほど評価が高く着地の成否やジャンプの高さも演技の評価に含まれています。モーグル競技は、個人ごとに滑走し得点を競い合うシングル競技と、二人同時に滑走して競い合うデュアル競技に分けられます。

モーグルのコース

モーグルのコースは、公式には全長235m±35m、幅はシングル競技で20m±5m、デュアル競技で30m±5mとなっています。斜面は最大37度、最低20度で傾斜はやや急になっています。

モーグルのエア技

モーグルの華というべきエア技の数々は、基本的に5種類に分けられます。回転を行わない「アップライト」、ひねりを加えた回転技である「オフアクシス」、横に回転する側転技の「ループ」、縦回転を行う「インバーテッド・フリップ」、垂直姿勢を保ったまま回転する「ストレートローテーション」の五種類があります。これらの技を組み合わせた数を一回(シングル)、二回(ダブル)、三回(トリプル)、四回(クオード)、五回(クイント)と数えます。

エア技の組み合わせ

二回のジャンプ演技はルール上、複数のエア技を組み合わせて演技することになっていて、その組み合わせは前後共に同じものになってはいけないことになっています。基本的には男子はトリプル~クオード、女子はダブル~トリプルという演技を組み立てて行います。

有名なエア技

エア技の中でも有名なのはアップライトに属する「コザック」ではないでしょうか。両足を左右に開脚し、両腕を股の下に通すように前屈するコザックは、モーグルの代名詞ともなっています。また“ヘリコプター”の異名を取る「ストレートローテーション」、回転技の中でも見栄えのする「コークスクリュー」などがエア技の代表格となっています。

モーグルの採点基準

モーグル競技は、カービングターンなどで斜面を駆け下りる技術に対してつけられる「ターン点」、エア技の組み合わせ・高さ・着地などの演技を構成する要素に対してつけられる「エア点」、ゴールまでのタイムをコースごとのペースセットタイムを使って計算した「タイム点」を合計したスコアを競い合います。スコアのうちもっとも比重が大きいのはターン点で50%、エア点・タイム点が残りの25%ずつを占めています。つまり、モーグルではエア技を行うためのテクニックとより速く駆け抜けるためのテクニックが問われる競技なのです。