エンジョイ!雪遊び

雪中 キャンプ

1980年代頃から、日本におけるレジャーは新しい展開を迎えました。それがアウトドアブームです。特別なものと考えられていたキャンプが、組立作業が簡単になったテントなどの普及によって一気に身近なものになったのです。その後、キャンプは基本的に夏に行われるものと考えられてきましたが登山家気分を安全に味わえる雪中キャンプが脚光を浴びつつあります。ここでは、そんな雪中キャンプの魅力とノウハウを伝授していきます!

雪中キャンプとは?

雪中キャンプとは、読んで字のごとく「雪の中で行うキャンプ」です。雪中キャンプは、雪山登山や雪中行軍における宿営手段として浸透していたのですが、アウトドアブームの定番化に伴い夏場のキャンプに新鮮味を感じなくなった人や、冬のレジャーをもっと楽しみたいと考える人によって一般化しつつあります。

雪中キャンプの魅力

雪中キャンプは夏場のキャンプとはまったく違う魅力を持っています。まず、考えられるのは「雪と親しめる」ことです。都会の中では雪が降ってもすぐに溶けてしまうか除雪されるかでふかふかのパウダースノーの感触を充分に味わうことが出来ません。雪中キャンプは、雪の多い山や森林に設営するので雪の感触や積雪量が多くないと出来ない雪遊びを楽しむことが出来るのです。第二に、「困難の克服によるカタルシス」があります。アウトドアにおいては、日常生活には無い様々な困難が待ち受けています。例えば家では蛇口を捻れば出てくる水にしても、川などの水場を探すといった困難があります。これらの困難を努力と工夫を重ねて克服することは、日常生活では味わえない達成感をもたらすのです。

雪中キャンプと夏場のキャンプの違い

しかし、夏場のキャンプに比べて雪中キャンプを行う人はまだまだ少数であると言えます。それには雪中キャンプと夏場のキャンプの違いが大きく関わっているためだと考えられます。一体何が雪中キャンプの普及のネックとなっているのでしょうか?

テントが立てにくい!

まず、雪中キャンプにおいて最大の難関となるのがテント設営です。冬場に行われる雪中キャンプにおいて、地面が積雪に覆われているためテントを固定するためのペグ(杭)を打ち込んでもすぐに抜けてしまうのです。夏場のキャンプの場合、土の地面にペグを打ち込んだあとペグの頭を石などの重石で抜けにくく出来るのですが、雪中キャンプの場合土よりも隙間が多い雪で、ペグの重石に出来る石が見当たらないためテントの固定が難しくなっているのです。

火が熾しにくい!

アウトドアにおいて、テントと並ぶ必需品が火です。火は灯り・暖房・料理と様々な用途をこなすキャンプの立役者と言えます。しかし、雪中キャンプでは一面雪で覆われているため火が熾きにくく、火が点いても風や雪の水分ですぐに消えてしまうという問題があります。テントの中で火を熾すのも、不完全燃焼になったり酸素不足になったりする可能性があるためお勧めできません。

暖房の問題!

夏場のキャンプでは、昼間が暑い分夜間は涼しくなるものの暖房を焚くほどではありません。しかし、雪中キャンプの場合は昼も夜も寒いので保温や暖房が不可欠になります。前述の通り、テント内部で火を熾して暖めるのは危険な行為です。

トイレの問題……

そして、一番の問題となるのがトイレです。夏場はお風呂・トイレが完備されているようなキャンプ場を利用することが多いので気にならないことが多いのですが、冬季期間中はキャンプ場を閉鎖していることがあるのです。その為、雪上キャンプではトイレの確保が最大の問題になってきます。

雪上キャンプを楽しく行うためのノウハウ

それでは、雪上キャンプにおける問題点を克服するためにはどのようにすればよいのでしょうか?

雪中キャンプでのテントの立て方

まず、テントを立てる前に地ならしを行う必要があります。夏場のキャンプでなるべく石の少ない場所を選ぶのと同じことです。テントを立てる場所を決めたらよく踏み固めて、平らになるようにスコップなどでならしておきましょう。前述の通り、テントを立てる時にはまったくと言っていいほどペグは使えません。雪中キャンプではペグの代わりに木の枝などを使い、アンカーにして雪に埋める形を取ります。また、テントに不安が残る人は大きめのかまくらやイグルーを作ってしまうのも手でしょう。

雪上キャンプでの火の熾し方

テントが張り終わったら、今度は火の確保です。雪で火が熾しにくく維持しにくいのをカバーするために、火は焚火台やコンロの上で熾します。風除けは雪を積み上げた壁を作り、壁の近くに焚火台やコンロを固定するための穴を掘って、段差を付けて風の影響を最小限に抑えましょう。

雪上キャンプでの暖房

まず、テントの上には必ず外幕をかぶせておきましょう。外幕は防水と保温の役割を持っています。テントの床下にも保温用のアルミシートなどを敷いて、断熱・保温を欠かさないようにします。テント内の暖房には、小型のストーブかガソリンランタンを使います。保温さえしっかりしていれば、これだけで充分なのです。また、ガソリンランタンは灯りと暖房の二役を務めてくれます。寝袋も、軽量な封筒型よりも頭まですっぽりと覆うマミー型の方が保温効果に優れていますが、念のため毛布を上から掛けて寝るようにしましょう。

雪上キャンプでのトイレの確保

実は夏・冬問わずキャンプの最大の問題とも言われているのがトイレの確保なのです。お風呂は我慢できるのですがトイレばかりは我慢にも限界があります。しかし、冬の寒さで用を足すのも至難の業と言えます。雪上キャンプの場合は、携帯用トイレを用意しておきましょう。ダンボール・ビニール袋をあわせて用意しておくと便利です。また、用を済ませるときは人目につかない場所に移動するわけですが、あまり遠くまで行き過ぎないようにしましょう。雪で川や崖などが視認しにくくなっていることがあります。